―我が子の事を思うがゆえについつい感情的に叱ってしまう―
子育てで一番難しいのは「子どもの叱り方」かもしれません。危ないことから子どもを守りたい、正しいことと悪いことを知って欲しい。そんな親の愛と責任感から子どもを叱るわけですが、叱る代わりに感情の赴くままに怒って「言いすぎちゃった」なんて罪悪感を感じたり、子どもが同じことを繰り返してまた同じことで叱るから「ママはすぐ叱る」と言われたり。そんな経験はありませんか?
私にもあります。本当に自己嫌悪に陥りますよね。ですがそれで「子どもに嫌われたくない」となんでも許すようになっては本末転倒です。寛容すぎる親から育つ子どもは自尊心、自信、幸福感、やり抜く力などの非認知能力(幸せな人生に必要な人間力)が低くなると言う調査結果があります。
反対に優しさと厳しさのバランスのとれた親の元で育つ子どもは非認知能力が高いと言われています。では優しさと厳しさのバランスのとれた叱り方ってあるのでしょうか?
―子どもが自ら自分を律し行動に移す叱り方のコツ―
私が習慣にしていたのは「叱るときは理由を説明する」と言うことでした。「ダメ」はダメという厳しさの中にも説明することで相手の人格を尊重する優しさを併せ持ちます。
大人だってなんでダメなのかの説明もなくただ頭ごなしに叱られたら人格を否定されたような気がします。子どももただ「危ない」「ダメ」では同様でしょう。また説明なしには子どもはどうしてそれが危ないのか、ダメなのかを理解しませんからまた同じことをして叱られるでしょうし、もしくは「叱られるからやらない」と言う指示待ち人間になってしまいます。
そしてそんな時に非認知能力の大元である自己肯定感はぐっと下がるのです。「自分はだめだなあ」とお子さんが感じていると、どんなに親が次はちゃんとして欲しいと思ってもお子さんはそれを行動に移す自信も勇気も出ないと思います。
子どもが自ら考え自信を持って正しい行動を取れるためにも、親は子どもに「どうして叱られているのか」の理由を知らせる必要があります。そこに「なるほど」という理由があれば子どもは自分の頭で考えて納得しそれを守ろうとします。例えば、子どもが滑り台を下から上がって遊んでいたら、「上から誰か滑ってくるかもしれない」「小さい子が真似してけがをしてしまうかもしれない」という理由を説明して叱る。
また理由を説明することには親にとっての利点もあるのです。それは親が感情に走ることを止めてくれるということ。論理的に説明するという行動に集中することで「どうしてこんなことするの!」という感情が鎮まります。
大勢の前で叱らず二人きりになれる場所で叱ることもポイントです。
子どもの非認知能力と思考力を伸ばすためにも、叱るときは「論理的な理由を説明する」これがコツです!
▼教えてくれたのはボーク重子さん
ライフコーチ。福島県出身、米・ワシントン DC 在住。30歳の誕生日前に渡英、ロンドンにある美術系大学院サザビーズ・ インスティテュート・オブ・アートに入学。現代美術史の修士号を取得後、フランス語の勉強のために訪れた南仏の語学学校で、アメリカ人である現在の夫と出会う。1998年渡米、出産。子育てと並行して自身のキャリアも積み上げ、2004年、念願のアジア現代アートギャラリーをオープン。 2006年、ワシントニアン誌上でオバマ前大統領(当時は上院議員)と共に 「ワシントンの美しい25人」のひとりとして紹介される。また、一人娘スカイさんは2017年「全米最優秀女子高生」コンテストで優勝。多くのメディアに取りあげられた。現在は全米・日本各地で、子育て・キャリア構築・ワークライフバランスについて講演会やワークショップを展開中。著書に『世界最高の子育て』(ダイヤモンド社)などがある。
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