《特集》家族の防災 家族の「備え」を考える ̶もし、いま災害が起きたら̶

地震や自然災害は、ある日突然起きます。自宅の備蓄対策はしていますか? 置き場がないからストックがない、非常持ち出し袋の中身を入れ替えていない…など状況はさまざまかもしれません。準備している人も不安な人も、改めて「備え」を見直してみませんか。

他人事ではない

近年、洪水や豪雨の災害がたびたび起こるなど自然災害が増加。火山活動は活発化しており、地球が地震の活動期に入っていると考えられます。名古屋にいつ大地震が起こってもおかしくない状態です。
「災害のことを考えると気が重くなってしまいますが、被災した人の多くは〝まさか自分がこんな目に遭うとは〞〝もっと備えておけばよかった〞と語っています。つまり、準備をしておくとある程度の状況は乗り切ることができるのです」と話すのは、過去の大震災で被災地支援に携わってきた、レスキューストックヤードの浦野愛さん。子どもや家族、自分の身を守るための覚悟を持っておくことが大切です。リアルな避難所の状況を踏まえて、実際に役立つ備蓄品や心の準備、忘れがちな備えについて掘り下げます。

日頃から事前準備

避難を余儀なくされる災害では、過酷な状況下で数日を過ごすことになり、想定外のことが起こります。いざ、という時にお子さんは非常食を食べてくれるでしょうか?もし避難生活が長期間に及んだ場合、誰か助けてくれる人はいますか? 盲点になりがちな災害前にできる準備と対策の4つのポイントを紹介。

 

事前にできる4 つの備え

子どもと一緒に非常食を試食

カンパンやレトルトの非常食を準備している人は多いはず。けれど、普段食べ慣れない物は避難時に子どもが食べない場合もあるので、事前に試食をしておきましょう。手作りの離乳食を食べている子は、レトルトに慣れておくのも大切。カンパンが苦手な子は、ジャムと一緒だと食べられるかも。また、授乳中のママは母乳が出なくなることがあるので、最低1 週間分の粉ミルクを用意しましょう。

避難できる高い場所を確認

南海トラフ地震が発生した場合、名古屋市にも津波が来ると言われています。市内沿岸部に津波が到着するまでおよそ1 時間半程かかるとされているので、すぐに避難行動を開始すれば逃げられる時間があります。散歩がてら生活圏内で避難できる高い場所(例:3 階建て以上のビル)を見つけておきましょう。ちなみに、名古屋市ホームページ「あなたの街の津波ハザードマップ」には津波避難ビルが掲載(港・中川・南区など一部)。津波の心配がない地域も、洪水などの対策として近隣の避難場所を頭に入れておいて。

災害時に助け合える付き合いを

避難者の疲れがピークになると、子どもの泣き声がうるさいなど厳しい目を向けられることがあります。そんな時に顔見知りの人がいれば、相談相手や子どもの遊び相手になってもらいやすく安心感が増します。また、保育園のお母さんや近所の友達など、関わりのあるコミュニティで「防災」の話題を出すのもお勧め。避難場所、家庭での対策などを情報交換しておくと、いざという時に助け合えます。

県外で頼れる人をリストアップ

避難生活が長引く場合、県外に頼れる人がいるのは心強いもの。携帯が充電切れでも連絡先が分かるようにメモに書き出しておきましょう。お互いが困った時に何ができるのかを相談しておくのもポイント。また、年長児以上のお子さんがいるなら、離れ離れになった時に子どもが自分で電話をかけられるよう、小銭を携帯させて公衆電話のかけ方も教えておきましょう。

 

避難所のホントを 教えて!

Q.何日くらい避難所で生活するの?

A.多くの人はライフラインが復旧し、家屋被害が少なければ自宅に戻りますが、これまでの災害では電気の復旧に1 週間、ガス・水道は2 カ月ほどかかっています。家屋の倒壊などで生活が困難な状況では、長期にわたって避難所で生活する場合も。

Q.避難所ってプライバシーがないって本当?

A.授乳室や女性更衣室を設置する避難所もありますが、1 人に毛布1 枚分程度のスペースしかないので、人との距離はかなり近いです。目隠し用に、段ボールやブルーシート、ワンタッチで開くテントが役立つので車や物置に入れておきましょう。

Q.物資は、配給されますよね?

A.物資が届き始めるまでに、少なくとも発生日から3 日~ 1 週間程度はかかります。それまでの対処ができる最低限の備蓄を。また、避難所によって物資の内容や量にムラがあります。幼い子どもやアレルギーの子どもの食べ物は届きにくいので備えは必須。災害発生直後は、ペット用品の配給がほぼ無いので自分たちで用意しましょう。

Q.車中で避難生活できるの?

A.幼い子どもやペットがいる、余震が続き屋内が怖いなどの理由から車で寝泊まりする人は多いです。2016 年の熊本地震では、避難所に滞在した人が18 万人、車中泊は55 万人いたと推定されています。しかし、車中泊はエコノミー症候群などの危険性も。また、食料や物資の配給は避難所で行われることが多いので、車中泊を想定した備蓄品の準備があると役立ちます。

Q.体調管理が気になります。

A.避難所は、夏は暑く冬はとても寒いので、決して快適な場所ではありません。新聞紙を肌着や布団代わりにして防寒に役立てたという事例もあります。入浴できない期間が続いたり体が冷えることで、膣炎や膀胱炎で発熱することも。お母さん自身のケアも重要です。“赤ちゃんのおしりふき”などで体を拭いて、できるだけ清潔に。100円ショップに売っている携帯用のウォシュレットも活用できますよ。

 

心のケアを大切に

近年、洪水や豪雨の災害がたびたび起こるなど自然災害が増加。火山活動は活発化しており、地球が地震の活動期に入っていると考えられます。名古屋にいつ大地震が起こってもおかしくない状態です。
「災害のことを考えると気が重くなってしまいますが、被災した人の多くは〝まさか自分がこんな目に遭うとは〞〝もっと備えておけばよかった〞と語っています。つまり、準備をしておくとある程度の状況は乗り切ることができるのです」と話すのは、過去の大震災で被災地支援に携わってきた、レスキューストックヤードの浦野愛さん。子どもや家族、自分の身を守るための覚悟を持っておくことが大切です。リアルな避難所の状況を踏まえて、実際に役立つ備蓄品や心の準備、忘れがちな備えについて掘り下げます。

 

家族4人の持ち出し袋 これがあれば大丈夫

 

 



●監修
認定特定非営利活動法人レスキューストックヤード
常務理事
浦野 愛さん

災害時の被災地支援、各地で復旧・復興に向けた支援活動、地域防災の講演を行う。

▼問い合わせ http://rsy-nagoya.com/